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している。
(6)「川は流れる」シリーズ
今や世界中の人々の関心事は環境問題にあることから、熊本県立劇場はかねてからの館長の主張である川上から川下までの全流域の人々が、わが川への認識を高めない限り、もはや日本の川は回復しないという考えと、国際機関が発表した世界の川は草の根運動でしか美しさを取り戻せないとする報告に対応して、最も身近かな環境問題である川を取り上げて、文化と環境を結合する「川は流れる」シリーズを企画した。
熊本県内には四つの大きな川が東西に走っているが、まず南北朝の歴史に富んだ菊池川を対象にすることを決定し、2年間の時間をかけて、「いま、菊池川は流れる」を、平成8年2月18日に上演した。
川は文明や文化を生んだ母体であるとの考察から、まず流域の伝承芸能の完全復元を実施した。中でも武家文化を象徴する「羽熊振り」は、拍子木一丁だけの鳴り物で、5名1組の男女数組が、毛槍を持って、優雅な奴踊りの型で粛々とゆっくり行進する芸能であるが、例によって文書では上演可能と書いてありながら、実際にはすでに消滅していたのを館長自ら長時間にわたって説得し、遂に数か月をかけて完全復元に成功し、当日開幕直後に上演したところ、観客に大きな感銘を与え、拍手は鳴りやまなかった。
数種の伝承芸能の上演のあと、第二部として、流域全市町村の全市町村長23名と住民約50名が舞台に登場し、1時間半にわたって、菊池川を今後どのようにして美しく守り抜くかの大討論を行った。
第三部は現在流域の若い人達がどのような文化活動をしているかを紹介した。
中でも熊本県立劇場鈴木館長と新しい学校教育の創造を相談し、提案によってコミュニケーション学科を設け、生徒の自由な学習を行うことによって、学力の向上につながった高校では、地元に伝承された最後の肥後琵琶師の語る「娘道成寺」のテープを、熊本県立劇場が編集し、名産の竹で人形浄瑠璃の人形を制作し、東京都八王子市に江戸時代から伝わる車浄瑠璃芝居を、生徒が八王子へ行ったり、また、指導者を招いて習得し、初舞台として熊本県立劇場に登場させたが、観客の絶讃を浴び、今や地元南関町の新しい芸能として定着し、上演ごとに町民はじめ多数の観客が押し寄せるまでになった。
この川は流れるシリーズの上演によって、県内には川を大切にしようとするグループがいくつも誕生し、川への関心を高めることが出来た。
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